レポート「私設ミュージアムの心意気」

レポート「私設ミュージアムの心意気」

日 時2022年10月10日(月・祝)13:00〜16:00
開催地:つやま自然のふしぎ館(津山市山下98-1)
講 師小泉成史(金沢工業大学客員教授、ジャーナリスト)、森本信一(つやま自然のふしぎ館 館長)
概 要https://o-bunren.jp/labo39

今回の実験室は、2万点以上の珍しい動物のはく製や昆虫、人体標本が展示された「つやま自然のふしぎ館」のガイドツアーを開催。同館の向かいに建つ「森本慶三記念館」に集まり、全員の顔合わせを交えた和やかな雰囲気の中でスタートしました。

まずは講師の小泉さんと、3代目館長の森本さんから挨拶があり、参加者全員で自己紹介を行いました。その後は2班に分かれて、森本館長と学芸員の小原さんに館内を案内していただきました。

約800点もの貴重なはく製の中には、ワシントン条約加入前に集めた希少動物や絶滅危惧種として登録されている動物も多数展示されています。参加者はアジア、アフリカ、北米大陸など生息地ごとに分かれた展示室を回り、丁寧な解説に耳を傾けながら貴重なコレクションを鑑賞しました。ズラリと並んだはく製はどれもがリアルで、牙をむいたトラや羽を広げた鳥など、今にも動き出しそうなポーズが迫力満点。ジャングルや極地を描いた背景画や手書きの説明パネルといったアナログデザインが歴史を感じさせ、参加者も独特の世界観に引き込まれました。

はく製以外に化石、鉱石、昆虫標本の展示も多い同館。中でも参加者の興味を引いたのが、森本館長の祖父である創設者・森本慶三の遺言により、自身の臓器の一部が展示された人体標本コーナーです。一同は本物を追求し続けた創設者の情熱に触れ、見ごたえのある展示の数々に対して感想を述べあいました。2班が合流した後は、現在は一般公開されていない昔の国産プラネタリウム投影機や無線機、電話交換機などの収蔵品も特別に見学させていただきました。

見学後は休憩を挟み、感想や意見を共有し合うアフタートークを開催。小泉さんからは今後の博物館構想について質問があがり、森本館長が展望や課題について答えました。また、生物に詳しい参加者のマニアックな視点に一同が感心する場面も。さらに地域一体の博物館構想やイベント、グッズのアイデアについて話が弾むなど、今後の盛り上がりを感じさせる有意義な時間に。終了後は「森本慶三記念館」内の旧図書室や歴史民俗館の貴重な文化資料も見学でき、充実したプログラムとなりました。

初来館の参加者からは「躍動感のある素晴らしい展示で見ごたえがあった」、コーディネーターの大月さんからは「来館者の心に強く残る、血の通った魅力を感じる。私設ミュージアムにとって個性的であることはとても重要だと思った」という感想があがりました。

ミュージアム関連の書籍を出版している小泉さん

館長の森本さん(右)と学芸員の小原さん(左)

はく製や化石、標本など約2万点を展示

南極と北極の動物のはく製が並ぶ不思議な空間

世界各国の蝶など珍しい昆虫標本を展示

1950年代の国産プラネタリウムや無線機を見学

感想や質疑を交えた見学後のアフタートーク

森本慶三記念館2階にある歴史民俗館

※今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策をした上で開催いたしました。

文化芸術交流実験室 

テキスト:溝口仁美