トークセッションとワークショップがセットとなった新しい切り口のシリーズ企画

レポート「岡山の中の異文化コミュニティー」

レポート「岡山の中の異文化コミュニティー」

日 時2018年10日28日(日) 11:00~16:00 
開催地きよね夢てらす(総社市清音軽部666-6)
講 師譚俊偉[タンシュンワイ] (総社市役所 市民生活部 人権・まちづくり課 国際・交流推進係)、大橋香奈 (研究者、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科助教)
概 要http://o-bunren.jp/post-2460/

2017年から開催してきた文化芸術交流実験室。第13回の様子をレポートでお届けします。

午前中の主役は、これまで国境をまたがる「家族」の関係の研究をされてきた大橋さん。その研究の中で制作した映像作品『移動する「家族」』を最初に鑑賞しました。登場する5人の研究協力者は、「家族」と異なる国で暮らしている人たち。この作品は、彼/彼女が語るここにたどり着くまでの物語や遠い国で暮らしている「家族」との関係を映し出します。上映後は、コーディネーターの大月さんとのトーク。大橋さんがこの研究を始めたきっかけはご自分の家族の事情でした。母親が6歳のとき、祖母が再婚するために母親を日本においてアルゼンチンに渡ったことや、中学生の時にご両親が離婚して父親が蒸発してしまったことから、「自分の家族は不完全な家族」だと思ったそうです。その時の「あるべき家族の型」を押し付けられることへの苦しみが、今の研究に反映されているそう。制作した映像作品は、暮らしかたが違う人たちを「型から外れたもの」としてではなく、それぞれに理解していくことの重要性を伝えています。

ブラジル料理のランチタイムを挟んで、午後は譚さんのプレゼンテーションから。ひとりの移住してきた外国人として、日本で譚さんが気づいたのは「その国のイメージ」が及ぼす力。世界地図を見ながら、参加者に「行きたい国/行きたくない国はどこか?」を訪ねました。何人かに聞くと、皆行きたくない国には悪いイメージを持っていました。しかし譚さんは、実際にそこに関わってみないとわからないことがたくさんあると語ります。さらにどんな人でも、国や文化に関係ない、人間共通の分かり合える部分があると続けました。他にも「郷に入っては郷に従え」というのはきつい言葉で、ルールを教えてくれないと、外からやって来た人はわからない。多文化共生員として、日本人と外国人どちらにも互いの文化やルールを教えあうことを大切にしている。異なる文化の人とも「その人として」接することで、色々な違いを乗り越えることが、私たちが多文化社会で生きるために必要だと考えている。というお話などをうかがいました。

この日は総社インターナショナルコミュニティ(元・総社ブラジリアンコミュニティ&インターナショナルフレンズ)のみなさんもいらして、国際的な顔ぶれの実験室となりましたが、途中に行った「家族」について話し合うワークショップも盛り上がり、プログラムが終わる頃には、新しい絆が生まれていました。大橋さんと譚さん、どちらにも共通するテーマは「違っている人同士でも、その人をその人として扱う大切さ」。最後に撮影した集合写真には、同じ岡山で生きる人たちの笑顔。様々な文化の違いを越えて、テーマが参加者に伝わった証かもしれません。

制作した映像作品について語る大橋香奈さん

譚俊偉さんによる熱いプレゼンテーション

プログラムの終わりに参加した皆さんとの記念写真

 

文化芸術交流実験室 

テキスト:高橋大斗