レポート「建築探偵団 其の四 『内側から見る岡山』」

レポート「建築探偵団 其の四 『内側から見る岡山』」

日 時2020年11月1日(土)13:00〜17:00
開催地岡山市内各所
講 師内海慶一(都市鑑賞者、ライター)、石田尚昭(公益財団法人 岡山文化芸術創造 理事)
概 要https://o-bunren.jp/labo28/

実験室の人気企画となった建築探偵団。第4回目となる今回は、約30名の参加者が集合場所の野田屋町公園に集まりました。

講師は、身のまわりの様々なモノ・風景を鑑賞し、写真や文章を発表している内海慶一さん。そして、岡山文化芸術創造理事や岡山市都市整備局まちづくりアドバイザーなどを務める石田尚昭さん。この2名を筆頭にA・Bの2チームに分かれて移動を開始。当日は秋晴れの爽やかな天候に恵まれ、絶好の街歩き日和となりました。

最初に訪れた岡ビル百貨店では、普段はなかなか入れない居住空間や屋上に上がり、実際に住んでいる方の室内を玄関先から見学させてもらいました。建物全体は西側の通路で4棟がつながる構造。見学した居室は、当時なかった浴室を後から増築したため、お風呂場の奥にトイレがあるという変わった間取りをしていました。格子状の外観や煙突、別棟にある旧共同浴場(現在は駐輪場)、屋上看板などを間近で鑑賞でき、今まで知らなかった岡ビルに触れられる貴重な機会になりました。

岡ビル百貨店を出た後は、表町に向かいながら街中の気になる建物をチェック。内海さん、石田さんの解説を聞くと、見ているようで見えていなかった街の面白さに気づきます。窓やドアの形、装飾テントなど、昔から残る建物には見どころがたくさんあります。柳川交差点の路地裏では小さなお稲荷さんを発見。参加者は思い思いに写真を撮りながら会話を弾ませました。

次の目的地、上之町ビルに到着。ここでは、ゆるっとした雰囲気の階数表示に注目が集まりました。年季の入った建物内部は、トイレのタイルや事務所のドアなど至る所に昭和の面影が感じられ、通路の窓から見渡す表町の景色も不思議と新鮮に映ります。石田さんからは「さまざまな角度から建物を見ると、意外な発見があって面白い」とアドバイスをいただきました。

ここからは2チームが別々のコースを散策しました。内海さん率いるAチームは岡山県農業会館を訪れ、地下の金庫室やエレベーター機械室、ベランダなどを見学。ドアの取っ手、照明、手すりといった内装・設備の細かい部分にも着目しつつ館内を回りました。Bチームは県庁通りと西川緑道公園の周辺を散策。通りを彩るアートや看板、立ち並ぶ店舗を石田さんが丁寧にナビゲートしてくれました。

最後は打ち上げ会場の「西川アゴラ」に全員が集合し、おいしいドリンクとお菓子でリフレッシュ。4時間の街歩きで見たものを振り返りながら会話を弾ませました。

参加者からは、「岡ビルの屋上など、普段入れない場所を見学できて楽しかった」、「見学対象のバリエーションが多彩でよかった」などの感想がありました。

岡ビル百貨店の屋上空間

1階から伸びるさまざまな形の煙突

上之町商店街の中にある上之町ビル南口

上之町ビルのレトロな階数表示

街の歴史や建物について話す石田さん

岡山県産業会館の送水口について解説する内海さん

農業会館のベランダにある空気抜きの穴

打ち上げで人気だった「EXCAFE」特製のフレッシュジュース

※今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策をした上で開催いたしました。

 

文化芸術交流実験室 

テキスト:溝口仁美