レポート 「子どもの心に届けるプログラム 音楽のアウトリーチ」

レポート 「子どもの心に届けるプログラム 音楽のアウトリーチ」

日 時2022年1月10日(月・祝)11:00〜16:00 ※新型コロナウイルス感染症対策のため2021年9月23日から振替実施
開催地やかげ町家交流館 谷山サロン(小田郡矢掛町矢掛2639)
講 師田村緑(ピアニスト)、佐々木英代(声楽家)
概 要https://o-bunren.jp/labo33/

今回は「やかげ町家交流館」の「谷山サロン」を会場に、大人から子どもまで幅広い年代の参加者十数名が集まりました。場内は天井が高く、ガラス越しに中庭を望めるなど開放感にあふれた造り。会話のはずむ和やかなムードの中、ユニークな音楽の時間が始まりました。

まずは田村さんが、全国で開催してきた演奏活動やアウトリーチ事業を紹介。福島県いわき市三和地区で実施された「三和プロジェクト」の事例を取り上げ、小学校でのコンサートや多彩な表現、創作と絡めたワークショップなど、3年にわたるプログラムと地域交流、アウトリーチの目的や課題について深く解説しました。佐々木さんは声楽家としての歩みを振り返り、オペラや雅楽を楽しむコンサート、現在力を入れている岡山県文化連盟の事業「文化人材バンク 学校出前講座」の活動を紹介しました。

昼食後は田村さんのアウトリーチプログラムを体験。「水の戯れ」などのピアノ演奏に合わせて、目を閉じたり寝転んでみたりとさまざまな聴き方で音の響きを感じました。次に「ピアノのひ・み・つ」と題して、部品の知識や音が鳴る仕組みを解説。さらにピアノ演奏は続き、参加者はクラシックの名曲に合わせて手拍子をしたりハンドベルを鳴らしたりと、五感を研ぎ澄ませながら音の体感を楽しみました。

「後半は、谷川俊太郎の詩「生きる」を題材にしたワークショップ。自分にとっての「生きる」とは何かを考えて紙に書き、そこから言葉の共通点を見つけて交換し合います。さらにグループ分けしながら全員の言葉をつなげ合わせて、一つの詩をつくりました。

次は、創作詩「生きる」に即興で音を付けることに。手や膝を叩く、紙を破る、モノをカチャカチャ鳴らすなどの音を奏で、朗読と音楽が合わさったパフォーマンス作品へとステップアップ。音によって詩に表情が加わり、みんなの心が通い合うような豊かな時間が生まれました。

ラストは、佐々木さんの歌声と田村さんのピアノ伴奏に合わせて、みんなで「ふるさと」を合唱。今回の実験室を通じてイメージした漢字を発表し、感想を述べあいました。

参加者からは、「音楽のアウトリーチを行う立場として、体験する側の気持ちが理解できた。気づきや学びを今後の活動に活かしたい」「幅広い人が楽しめるプログラムで面白かった」などの声がありました。

講師の田村さんがアウトリーチについて説明

音楽活動を紹介する講師の佐々木さん

クラシックなどの名曲をピアノ演奏

寝転がって、ピアノの音色・音の世界を感じてみる

ピアノに近づいて音色の響きを聴く

ハンドベルを使って即興的な演奏を楽しむ

全員で創作詩「生きる」を朗読

施設内のカフェ「やかげ茶屋」の月替わりランチ

※今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策をした上で開催いたしました。

文化芸術交流実験室 

テキスト:溝口仁美