レポート「お金の仕組みから考える文化芸術の支援」

レポート「お金の仕組みから考える文化芸術の支援」

日 時2019年9月28日(土)11:00〜16:00
開催地奉還町4丁目ラウンジ・カド(岡山市北区奉還町4-7-22)
講 師今野真理子(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 企画室 企画助成課 シニア・プログラムオフィサー)、高田佳奈(岡山県文化連盟 主任)
概 要https://o-bunren.jp/labo21/

岡山駅西口の商店街にある、奉還町4丁目ラウンジ・カド。文化芸術とお金の仕組みをテーマとした回に、文化芸術の実演・つくり手の方、施設運営などで携わる方、行政関係者などが集まりました。

まずは高田からのイントロダクション。文化芸術活動には課題解決型と価値創造(提供)型がある点、活動をただやっているだけでは資金獲得できない点、その価値をうたう際に本質/社会/経済的価値という切り口が考えられる点、助成金や地域アーツカウンシルのような仕組みと「公益」の考え方についてのポイントを語りました。文化芸術基本法、2020年東京オリンピック・パラリンク、ダイバーシティ(多様性)、ソーシャルインクルージョン(社会包摂)など最近の傾向も解説。文化や芸術の“よさ”は、当事者しか伝えることができないので、「価値の言語化」を試みるワークショップでは、誰のためにやっているのか、それをどのように表現すれば伝わるのかを意識して取り組んで欲しいと狙いを伝えました。

続いて、今野さんよりご自身のバックグラウンドやアーツカウンシル東京について紹介。合わせて東京都や、文化庁など国、地方公共団体の文化予算などの状況にもふれ、いよいよ本題に。資金調達(ファンドレイジング)について考えるにあたり、資金の種類(寄付・会費収入/助成金・委託金など/事業収益)や特徴、その望ましいバランスを知ります。

助成金については、例えばアーツカウンシル東京では「東京芸術文化創造発信助成」「芸術文化による社会支援助成」など、個々の助成事業にミッションがあるため、 助成する側の意図を理解することが重要である点、 「コネ」は効かないが「関係づくり」は有効である点などを解説。他にもどのような助成金が知られているのか、代表的なものや情報サイトなどを紹介いただきました。 寄付についても、会員制度自体の設計、遺贈寄付、マンスリーサポーター制、もったいない寄付(物品)など様々なアプローチがあるとのこと。 「いかに共感を得て、支援者を巻き込み、それを持続させるか」。どのようなプロジェクトがファンドレイジングに強いのかも確認した上で、参加者それぞれが関わる活動について「ヴィジョン・ミッションを言葉にする」ワークショップを行いました。

また、ファンドレイジングを進めるステップも紹介。組織の潜在力のチェック・棚卸/既存・潜在的寄付者の分析/理事・ボランティアの巻き込み/コミュニケーション方法や内容の選択/感謝・報告・評価が重要である点を解説した後に、ワークシートで一部その計画について考える時間も設けました。言語化が難しい芸術文化についての様々なキーワードをもらい、多くの事例や具体的な情報も知ることができる有意義な1日となりました。

奉還町4丁目ラウンジ・カドの2階

ワークシートの説明をする今野さん

ラウンジ・カドの野菜たっぷりプレート

ヴィジョン・ミッションを言葉にするワークショップ

参加者同士で対話する時間も設けました

 

文化芸術交流実験室 

テキスト:橋本誠(ノマドプロダクション)