レポート「映画制作の現場」

レポート「映画制作の現場」

日 時2019年7月12日(金)19:00〜21:00
開催地吉備路文学館(岡山市北区南方3-5-35)
講 師竹井政章(映画・テレビの制作担当)、本田孝義(映画監督)
概 要https://o-bunren.jp/labo19/

岡山県内の分野横断的な交流のプラットフォームを目指す「文化芸術交流実験室」。

この回は、休日の予定が立てにくい方も参加しやすい、平日夜のトーク。通常17:00まで開館している吉備路文学館では、映画『ずぶぬれて犬ころ』(住宅顕信)上映記念企画展を開催中。映画に登場する顕信の句やメイキングの様子、小道具などの展示を特別に見ながら、参加者は開演を待ちます。トークは映画を監督した本田さんが進行役となりながら、その制作を担当した竹井さんのお話をメインに進められました。2人は赤磐市の中学校の同級生だったことが縁で一緒に仕事をされたそうです。

まずは「制作」という仕事の位置づけや具体的な内容について。制作は監督の元で、作品を実際に形にするための現場の裏方。本田さん曰く、岡山で制作の人材を探そうと思っても、映画製作の本数が少ないこともあり、専業の方を捕まえるのが難しいそうです。竹井さんも、普段は東京を拠点にされています。他にも大別すると、カメラや録音など撮影に関わる「技術」。衣装・メイクや小道具など映るものに関わる「美術」という立場の仕事が現場にはあります。制作はロケ時の予算管理はもちろん場所の選定・地図作成、ロケ車、お弁当の手配、地方ロケなら宿泊・移動手段の手配など多岐にわたります。その中でもロケ場所の選定は重要です。竹井さん曰く「監督のイメージは勿論のこと、そこに自分のイメージも加味していき『台本にある文章を具現化』していく仕事」であり、大変なことが多いけれども、つくり手のひとりとして楽しく関わることができ、達成感があるそうです。

『ずぶぬれて犬ころ』における制作エピソードも聞くことができました。苦労の鍵は、予算の少なさ。岡山で撮影されたこの映画ですが、例えば東京から来る技術スタッフはハイエース1台で来るようにして、宿泊場所にはロケにも使える家を使う。岡山在住のスタッフから様々な家財や小道具、物を借りるなどの工夫が必要でした。また重要だった病院での撮影については岡山県フィルムコミッション協議会を通して探したそうですが、予定していた病院の撮影環境が厳しくなり、急遽探し直したとのこと。結果として、別の病院の2フロアを無償でかりることができ、場所性や予算面ではもちろん「監督が落ち着いて撮影できる環境を確保できた」と竹井さんはそのポイントを話していました。

竹井さんは、普通であれば助監督が行うスケジュール管理、美術が担当するような特殊効果も一部担当する、アシスタントをほぼつけずに仕事をこなすなど通常より数倍の役割を果たしたそうです。他にも小学校や個人宅での撮影エピソード、予算もある撮影の場合のやり方など、制作を軸に様々な話題に話が及びました。最後には本田さんから「こうした仕事があるということを知ってもらえるとうれしいけど、その大変さを感じさせないのがいい作品だと思っています。」という視点も提供されました。

会場では、映画にも登場した顕信の好物であるクリームソーダがふるまわれ、終始和やかな雰囲気の中での会となりました。

閉館後の吉備路文学館が今回の会場

「制作」「技術」「美術」の仕事を説明する竹井さん

映画の監督を務めた本田さん

顕信の好物だったというクリームソーダをEXCAFEさんのオリジナルで

 

文化芸術交流実験室 

テキスト:橋本誠(ノマドプロダクション)