レポート「芸術文化の今 ソウルと岡山」

レポート「芸術文化の今 ソウルと岡山」

日 時2018年12月24日(月)10:00〜15:00 
開催地岡山後楽園(岡山市北区後楽園1-5)
講 師多田淳之介(演出家、劇作家)、劉誠子 ユーソンジャ(ソウルデザイン財団)
概 要https://o-bunren.jp/post-2486/

会場は、日本三名園のひとつ、岡山後楽園内の鶴鳴館。最初に、後楽園事務所長の野崎正志さんから後楽園と鶴鳴館の由来について解説いただきました。

続いて多田さんから、ご自身の活動と韓国との繋がりについて紹介。普段は関東を中心に活動されていますが、韓国では、2008年から年約1回のペースで作品を制作・上演しています。多田さんが韓国でまず驚いたのが劇場の多さで、東京23区合わせた劇場数が130なのに対し、ソウル市内にある大学路(テハンノ)という一角だけで200程もあるそう。若者の間では演劇鑑賞が当たり前の休日の過ごし方になっています。この背景には、韓国政府による文化政策があり、劇場を建築すると税金が控除されたり多様な助成を受けられたりできるのだとか。そのほか、韓国の劇場の様子やアーティストの暮らしぶりについても紹介がありました。最後に日本と韓国とで共通する課題を、独特の関係にあるからこそ、文化交流を介して一緒に考えていけるのではないかと展望を話してくれました。

次に劉さんから、ソウルデザイン財団とDDP(Dongaemun Design Plaza)について紹介がありました。ソウルは2010年にユネスコデザイン都市に認定され、様々な文化政策が推進されています。2014年に東大門に開館したDDPはデザイン産業のためのプラットフォームを担う大規模施設で、空間活用デザインの提案や、若手デザイナーのスタートアップ支援など様々な事業を推進しています。また、小学校〜高校と連携し、DDPの建築デザインや歴史文化に関するコンテンツを利用したプログラムを実施。さらに「designer’s map ddp」というスマートフォンアプリを開発し、ソウル市内にある無数の小規模な加工工場と若手デザイナーが繋がる仕掛けをつくっています。このアプリを用いたワークショップでは、デザインを一度もやったことがない学生たちが、自分たちの手で描いたデザインを工場に持ちこみ加工してもらい、仕上げは自分たちの手で行います。材料から加工までを目の当たりにすることで、ものづくりの面白さに目覚め、何度でもやりたくなるのだとか。おふたりから普段なかなか知ることのできない韓国の最先端の文化事業について詳しく伺え、会場の好奇心の熱量はどんどん上がっていきます。

ランチを挟み、いよいよワークショップです。劉さんによる廃材ワークショップは、各テーブルに廃材が分類された「トゥリームキット」を使用したもの。多田さんによる絵と音楽を使ったワークショップでは、人によって絵からどんな物語を感じ取るかが違うことがわかりました。最後に、音楽を聞きながらワークショップで作った自分の作品にタイトルをつけ、音楽と言葉とのズレや反応を楽しみました。

会場は岡山後楽園の入り口すぐにある鶴鳴館

韓国の演劇シーンを紹介する多田さん

DDPの「トゥリームキット」を紹介する劉さん

designer’s map ddp

「トゥリームキット」などを使ったワークショップ

 

文化芸術交流実験室 

テキスト:木下志穂