Youtube配信 ⑦ 支え合う地域の文化~箏づくりの現場から~
訪問実験室シリーズの第7弾は、和楽器のひとつである「箏(こと)」の制作現場を訪ねました。岡山県文化連盟では、公立小中学校の児童生徒を対象にした「学校出前講座」を実施していますが、筝曲講座で使う和楽器の貸出しや運搬、メンテナンスは、岡山県内の和楽器店のサポートにより実現しています。
今回は講座に協力いただいている和楽器店の中から、元禄年間創業の老舗「関屋琴三絃店」を訪問し、実際に箏を作る様子を見学させていただきました。
お話してくださったのは琴三絃司13代目の石村勝治さん。箏はいったいどのような工程と技術を経てつくられ、美しい音色を響かせるのでしょうか。日本の伝統音楽と地域の文化芸術を支える、箏職人の仕事にふれてみたいと思います。
このメイキングレポートと合わせて、ぜひ本編のYouTube動画をお楽しみください。
形 式 / YouTube配信(岡山県文化連盟 公式チャンネル「おかやまカルチャー・ヴィ」にて配信中)
対象者 / 音楽、和楽器、邦楽、伝統文化
収録レポート

箏は奈良・平安時代から雅楽を演奏する弦楽器として広まりました。その伝統技術と美しい音色は、時代を越えた今も「日本の音」として世界中の人々を魅了しています。
岡山市内にある「関屋琴三絃店」は、岡山県下で唯一箏や三味線をつくっている老舗の和楽器専門店。工房には制作途中の箏や製材した原木、使い込んだ道具の数々が所狭しと並び、一つひとつ手作業で仕上げられていく過程を垣間見ることができました。最初のインタビューでは、箏の歴史や職人になったきっかけをお聞きしました。
箏の各パーツにはある生き物に例えた名前が付いており、貴族の間で親しまれた格調の高さを感じさせます。特徴的なパーツの名称とともに、箏の仕組みや寸法、流派についても詳しく解説していただきました。

インタビュー後は一連の作業工程を見学。別の作業場に場所を変えて、箏の上面を削る工程に移ります。ノミやカンナなどの道具を上手く使い分けながら、丁寧に根気よく表面を削っていきます。昔は多くの職人が分業制で箏をつくっていましたが、現在は少人数や1人で全工程を手掛けているのだそう。
丁寧な手作業によって、桐の原木がだんだんと箏の形へ変化していきました。

続いて、箏の裏側に模様を掘る工程。良く研いだノミで木の表面を細かく彫っていき、数日かけて本体に細やかな装飾を施します。模様彫りのコツや道具のこだわりについても語ってくださいました。

今度は屋外に移動。ともに箏づくりを行う息子さん達とともに「焼き入れ」の作業を実践していただきました。
高温で熱したコテを滑らせながら表面を焦がしていきます。箏づくりに火を使うのは意外な感じもしますが、これは箏の強度や品質を高める上でも大切な作業なのだそう。焼き入れ後の箏は磨くと黒く艶が増して、木目がくっきりと浮かびます。普段は見ることのできない職人技を披露していただく、貴重な機会となりました。

必要な金具や装飾品を取り付けたら、最後は箏に弦を張る工程。糸の張り方や糸の締め具合によって箏の音色が変わるため、弦の扱いには熟練の職人技が必要とされます。
「良い音で鳴るように」と何度も微調整をかけながら、最後まで心をこめて箏をつくりあげていきます。

完成した箏を鳴らしてみると、心に染み入るような優しい音が鳴り響きました。「この音こそが箏の魅力」と石村さんは語ります。
映像では、出前講座で箏の演奏を楽しむ子どもたちの様子も紹介しています。岡山は日本伝統の邦楽や和楽器文化が盛んな地域であり、年間150ある出前講座の中でも筝曲は特に人気の高い講座です。
後半のインタビューでは、和楽器にふれる機会の創出や、伝統を次の世代につなげていくことの大切さを語ってくださいました。
箏づくりに込める技と想いから、和の伝統文化の素晴らしさを感じてみてください。
講師紹介
関屋琴三絃店 琴三絃司 石村勝治さん
元禄年間創業。手作りの琴や三味線の製造・販売、貸し出し、修理を行い、分業制ではなく全ての工程を1人の職人が手掛けている。現当主の石村勝治さんは十三代目。原木の買い付けを含む全工程を体得した琴匠として、和楽器の伝統文化を次世代に継承している。
岡山市北区京橋町10-6 TEL. 086-222-4035
https://www.sekiya-1701.com/
聞き手
高田佳奈
映像編集
皿井淳介
収録レポートテキスト
溝口仁美

