レポート「『民藝』ってなんだろう?岡山ものづくり」

レポート「『民藝』ってなんだろう?岡山ものづくり」

日 時:2024年11月16日(土)11:00~16:00
開催地:倉敷民藝館(倉敷市中央1-4-11)
講 師:須浪隆貴(須浪亨商店5代目、岡山県民藝協会副会長)
           軸原ヨウスケ(デザイナー、COCHAE代表取締役)
           柳沢秀行(倉敷民藝館館長補佐、公益財団法人大原芸術財団シニア・アドバイザー)
概 要https://o-bunren.jp/labo48/

今回は民藝のテーマにふさわしい豪華な講師陣を迎えて、倉敷美観地区を舞台に、観て・聞いて・作って楽しむ多彩なプログラムを企画。会場の「倉敷民藝館」には、民藝品や美術に関心のある方など約20名の参加者が集まりました。

まずは柳沢さんが、民藝のルーツや倉敷における民藝運動の発展、倉敷民藝館の役割や倉敷の民藝品・羽島焼についてレクチャー。定義を語ることが難しく、多様な解釈がされやすい民藝を分かりやすく解説しました。約30分のギャラリーツアーでは、柳沢さんが進行役となって各部屋の展示品を鑑賞しました。

鑑賞後は須浪さんのトークに移り、家業である須浪亨商店の歴史や花ござ、いかごの文化や製作についてのお話を聞きました。また民藝の蒐集家(しゅうしゅうか)として、民藝との出会いや現代的な民藝とその関係性、伝統の継承についても言及。「自分の仕事は民藝ではない」と捉えつつも、「民藝的な考え方や地域・風土を重んじる姿勢でものづくりをしている」と須浪さん。若い作り手ならではの視点と飾らないトークに、参加者も熱心に耳を傾けました。

一旦休憩に入り、一同は近くの文化施設「きび美ミュージアム」に移動してランチタイムに。「きび美ホール」にて地元惣菜店「みねふじん」のお弁当を食べました。午後からは軸原さんの案内で、「日本郷土玩具館」に展示された郷土玩具を鑑賞しました。続いてのレクチャーは、遊びや郷土玩具をテーマにした軸原さんのデザインワークや創作活動、民藝運動の周縁にある人、物、事柄にスポットをあてたリサーチ活動「アウト・オブ・民藝」を紹介。郷土玩具や農民美術といった庶民の伝統的なプロダクトについて、貴重な出版資料とともにその魅力や歴史、民藝運動との関係性などを紐解きました。

後半には講師3名のクロストークを実施。互いに質問を交わし合い、話すテーマもよりアカデミックで専門的な方向に。ここでは民藝運動の歴史やその本質、柳宗悦の時代と現代で変化する民藝の価値観、作り手としての在り方、民藝の展望といった話題で盛り上がりました。最後は須浪さん指導によるワークショップが開かれ、全員でい草の鍋敷きづくりにチャレンジ。編む時の力加減が難しいものの、い草の良い香りに包まれながら夢中で手を動かす楽しさを体験しました。

参加者からは、「民藝という言葉を中心に、歴史と人物が広がっていくのが興味深かった」、「民藝に関する人や物だけではなく、民藝の精神性に関する話も聞いてみたかった」といった感想がありました。

柳沢さん進行による倉敷民藝館ツアー

今回の会場となった倉敷民藝館

須浪さんが「倉敷いかご」についてトーク

昼食は倉敷市の惣菜店「みねふじん」のお弁当

昼食後は軸原さんの案内で「日本郷土玩具館」を見学

講師3名によるクロストーク

い草の鍋敷きを作るワークショップ

参加者みんなで手仕事の楽しさを体験

文化芸術交流実験室 

テキスト:溝口仁美