『民藝』ってなんだろう?岡山ものづくり

『民藝』ってなんだろう?岡山ものづくり

生活に根ざした民藝を紐解き、日常の中で見出せる美について考える

私たちの生活で使うものを自分に合わせて作ったり、装飾を加えてみたりする創造的な動きは、いったいどこからくるのでしょうか?今回は、そんな「生活に根ざした民藝(民衆的工芸)」について紐解きながら、日常の中で見出せる美について考える時間を設けました。

民藝という言葉は、大正末期に柳宗悦らによって生み出されました。これは、生活の中で使う、遊ぶ、そして慈しむ「物」としての工芸品を指しています。これらの工芸品には、伝統的に受け継がれるものもあれば、作り手の個性や地域の特性を反映した独特の形のものもあります。

近年「アルカイック・モダニズム(Archaic Modernism)」という概念が、単なる復古的なアプローチではなく、過去の伝統を尊重しつつも、その中に新しい可能性や価値を見出そうとする創造的な試みとして注目されています。こうしたアプローチの仕方は、民藝を考える上で、今に私たちができることへの視点に光を当てるように感じられます。それは伝統を受け継ぐ家系の現状や地域のものづくりに対する気づきにも通じます。

今回の企画では、伝統的なものづくりやその周縁に関わる人々や物事に焦点を当て、掘り起こし、その本質を伝えるデザイナーの軸原ヨウスケ氏、そして1886年創業の須浪亨商店5代目として多彩なイカゴ(いぐさの籠)を製作する須浪隆貴氏をお招きし、倉敷民藝館館長補佐の柳沢秀行氏と共に民藝の現時点を感じてみようと思います。 当日は、講師と一緒に倉敷民藝館で展示されている羽島焼や産地民藝を鑑賞するギャラリーツアーとトークのほか、須浪氏によるいぐさを使った鍋敷をつくるワークショップも体験していただきます。

内 容 / トークセッション&ワークショップ
日 時 / 2024年11月16日(土) 11:00〜16:00 
場 所 / 倉敷民藝館(倉敷市中央1-4-11)
料 金 / 3,000円(倉敷民藝館入館料、ワークショップ代、ランチ代を含みます)
昼 食 /「みねふじん」のお弁当
ワークショップ / 須浪隆貴さんを講師に、いぐさのなべ敷きを作ってみます(約1時間)
対象者 / アート、教育、伝統、歴史

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講師紹介

須浪隆貴
須浪亨商店5代目・ 岡山県民藝協会副会長。1993年岡山県倉敷市生まれ。子どもの頃から、もの作りが好きで、いかご(いぐさの籠)を綯う祖母を手伝うのも自然な日常。産地の綯いと、自らの綯いを取り混ぜた多彩なイカゴを、1886(明治19)年創業の須浪亨商店5代目として製作。須浪さん製作の縄のれんはキノシタショウテン(木下尚之さん)の一部店舗にも使われている。
軸原ヨウスケ
デザイナー、COCHAE・へのへの図案社・株式会社オンチュウ代表取締役。1978年生まれ。デザインユニットCOCHAE(2003年~)のメンバーでありデザイナー。折り紙パズル「ファニーフェイスカード」が日本グッドデザイン賞2008受賞、『猫のバラパラブックス』(青幻舎)が造本装幀コンクール2013審査員奨励賞、『トントン紙ずもう』(コクヨWORK×CREATE)がグッドトイ2013選定など受賞多数。近年はパッケージデザインを数多く手がけている。伝統こけし工人とのプロジェクト、ドンタク玩具社でも活動。2021年、福武教育文化賞受賞。著書に『アウト・オブ・民藝』(共著、誠光社、2019年)など。(写真:高見知香)
柳沢秀行
倉敷民藝館館長補佐、公益財団法人大原芸術財団シニア・アドバイザー。日本の近現代美術史研究。またパブリックア-トなどを含め、美術(館)と社会の関係についての調査、実践。1991年より岡山県立美術館学芸員。6本の自主企画展を担当。また社会における美術館が果たし得る機能への関心から、同館の教育普及事業、ボランティア運営に関わる。 2002年より大原美術館に勤務。現代作家との事業や、所蔵品を活用した展示活動を担当。また同館の社会連携事業を統括。2023年より倉敷民藝館兼務。