備中国のくらしと音〜音・音楽・声・言葉に 支えられてきた文化を訪ねて〜

備中国のくらしと音〜音・音楽・声・言葉に 支えられてきた文化を訪ねて〜

備中国のくらしと音〜音・音楽・声・言葉に 支えられてきた文化を訪ねて〜

ちょっと耳を澄ましてみましょう。

たとえば、朝、布団の中にいるあなたの元にとどくお寺の鐘の音。時報がわりの音楽。近所のお年寄りが挨拶する声。誘い合わせて出かける小学生のおしゃべり。しばらくすると、学校や工場の始業のベル。車のエンジン音や自転車のブレーキの音。犬や猫の鳴き声。

外に出れば鳥の鳴き声。木々を揺らす風の音。潮騒や川のせせらぎ。時には雨音。草を刈る音。鶏や牛の鳴き声。誰かが楽器を練習する音。幼稚園の園児が遊ぶ楽しげな声。仕事場から聞こえてくるモノづくりの音。放課後の運動部の掛け声。

夕方になれば、家路を急ぐ人々のざわめきに溢れる駅のプラットホーム。どこからか料理をする音や匂い。ダンスの練習をする若者が流す音楽。店で談笑する人々。グラスやお皿がぶつかる音。お風呂の洗い場に響く湯桶やお湯の流れる音。

寝てしまってその音は聞けていないかもしれないけれど、誰かに向かって話す深夜ラジオの声、遠くを走る貨物列車の音、まだ暗いうちに漁に出ていく船のエンジン音。

くらしをいろどる音は、かくも多彩です。コロナ下、人同士が離れていても、声や音で人の営みを感じ安心された方も多いのではないでしょうか。

しかし、昨今、色々な国で、音に対する寛容度が低くなってきていることが心配されています。日本もしかり。再生機器の発達で、どこにいようとも、いとも簡単に、自分の好きな音を楽しめる時代になりましたが、くらしの中にこれまでごく自然に存在していたさまざまな音が、なぜか、ゆったりと受け止められなくなりつつあるようです。

最近、フランスでは匂いや音(ニワトリの鳴き声や牛の匂いなど)を、田舎に特有な「知覚的文化遺産」として守る法案を作りました。逆に、オーストリアでは大きな音が出るカウベルの代わりに、牛にGPSをつけるという、現代的な解決策が採用されました。知覚的文化遺産とは、まさに文化芸術の根っこを支えるものであり、そして、人間が生きていく上で最も大切なものであるように思います。これがなくなっていくと、互いに息を潜めてくらし、表現することもままならない、生きる喜びのない世の中になってしまいます。

今年のおかやま県民文化祭「これがOKAYAMA!プログラム」では、「備中国のくらしと音〜音・音楽・声・言葉に支えられてきた文化を訪ねて〜」をテーマに、県民文化祭期間中に備中地域で開催される、音にまつわるプログラムや、それを育み音が生まれる場所、さらに音と暮らすキーマンをまとめてご紹介します。備中エリアには、音楽に親しむ人が多く、専門の大学もあります。また楽器を手作りする人もいます。このエリア出身の若いシンガーソングライターを思い浮かべる方もいるでしょう。仕事唄や盆踊りなどの民謡民舞もたくさん残っています。神楽などに代表される伝統芸能も盛んです。山間部ではヤギの鳴き声がのどかに響き、工場ではモノづくりをする音も聞こえます、酒蔵に音楽が流れていたりもします。

「くらしと音」で取り上げるのは、音、音楽、声、言葉。音楽ホールやライブハウスだけでなく、生活する環境の中で出会うさまざまな音の豊かさに気づくことにより、私たちがこれまでに無意識的に育んできた知覚的文化遺産に目を向け、いや、耳をかたむけ、それをこれからも寛容度を持って大切にしていきたいと思います。どうぞご一緒に、各地の音を訪ねてみましょう。

リーフレット

こちらから音を聞いてみましょう!  クイズはこちら クイズの応募はこちら(12/10まで) 変更はこちらからご確認ください 

備中国のくらしと音(冊子PDF)

お詫びと訂正:備中国の暮らしと音につきまして、次の誤りがございました。謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。(2021年9月6日)
訂正内容:4頁左下最終行から2行目【誤】千秋楽【正】千歳楽

編集・発行

おかやま県民文化祭実行委員会(公益社団法人岡山県文化連盟、岡山県)

協力

本リーフレット作成にあたり、ご協力いただきました関係各位に心より御礼申し上げます。

デザイン

株式会社 LogooDesign

問い合わせ

公益社団法人岡山県文化連盟
〒700-0814岡山市北区天神町8-54 岡山県天神山文化プラザ3F
TEL:086-234-2626
FAX:086-234-8300