トークセッションとワークショップがセットとなった新しい切り口のシリーズ企画

レポート「文化と教育と福祉の刺激的な関係」

レポート「文化と教育と福祉の刺激的な関係」

 

日 時2018年1月8日(月・祝)11:00〜16:00 
開催地奈義町伝統文化等研修施設(岡山県勝田郡奈義町豊沢327-1)
講 師平田オリザ(劇作家・演出家)、菅原直樹(奈義町アート・デザイン・ディレクター)
概 要http://o-bunren.jp/post-106/

おかやま文化芸術アソシエイツの一環として11月にスタートを切った文化芸術交流実験室。トークセッションとワークショップがセットとなったシリーズ企画で、岡山県内の分野横断的な交流のプラットフォームを目指しています。
岡山県勝田郡奈義町で開催した3回目の様子をレポートでお届けします。

会場は、岡山駅からバスで2時間ほど北に走った鳥取県との境にある奈義町。建築家の磯崎新氏が設計した奈義町現代美術館があることでも知られています。今回は、千葉県や南九州など、県外からも文化事業や福祉、医療に携わる様々な方々が集まりました。

最初に、平田さんより、「文化によるまちづくり」と題して、奈義町での取り組みを紹介しながら、社会における芸術の役割についてレクチャー。奈義町では、2016年4月より「教育・文化のまちづくり監」となった平田さんを中心に、独自のまちづくりを展開しています。2017年度には「知識の量を量る試験から、学ぶ仲間を選ぶ試験へ」というコンセプトで、若手職員も参加する面接や演劇の手法を取り入れた職員採用試験を実施したことでも話題を呼びました。

また、移住・出産・子育てに関わる様々な支援施策により、子育て世代の移住者が増加、合計特殊出生率は全国トップクラスになっています。平田さんによると、お母さんが子どもを見守りながら楽しめるカフェやレストラン、美術館などの文化施設の役割が大きいとのこと。「教育と文化に力を入れるかどうかで、まちの姿は10年後、20年後に大きく変化する」との言葉に会場の参加者は大きく頷きました。

午後からは、菅原さんよるワークショップ。東京で俳優として演劇活動を続けてきた菅原さんは、20代終わりに始めた介護の現場での仕事を通じて、介護と演劇の相性の良さを実感。東日本大震災後に岡山に移住した後、特別養護老人ホームでの介護職員勤務時期に「老いと演劇」OiBokkeShiの活動を始めました。

ワークショップでは、まず、遊びとリハビリテーションを組み合わせた「遊びリテーション」やシアターゲームを通じて日常的に使う身体を意識した後、認知症の人に対して周囲がどう関わるかをロールプレイング。さらに、将来自分が認知症になった場合の老人ホームでのシーンを想定してグループでシナリオをつくり、実際に演じてみました。老いや認知症にどのように向き合うか、深く考えるきっかけとなりました。

20代〜50代の地域の担い手が多く参加

遊びリテーションで身体を意識

認知症の人をどう受け入れるか演じてみます

教育と文化への投資が地域の未来に繋がること、また、老いや認知症を受け入れることで今この瞬間を豊かに生きられるという、自治体・個人双方のあり様について深く考える濃密な時間となりました。地域において、子どもから老人まで、人生のすべてのステージで幸せに生きるためのヒントをもらったように感じました。

本シリーズは2018年度も開催いたします(9月までの予定を公開中)。ぜひご参加ください!

文化芸術交流実験室 

テキスト:木下志穂