トークセッションとワークショップがセットとなった新しい切り口のシリーズ企画

レポート「建築探偵団 其の弐『団地』」

レポート「建築探偵団 其の弐『団地』」

日 時2018年11月3(土・祝)11:00〜16:00 
開催地住吉町の家 分福(倉敷市中央2-13-3)、老松団地(倉敷市老松町3-2-1)
講 師石田尚昭(岡山市スポーツ・文化振興財団 常務理事)、菊地マリエ(公共R不動産 コーディネーター)
概 要http://o-bunren.jp/post-2469/

2017年から開催してきた文化芸術交流実験室。第14回の様子をレポートでお届けします。

この日は、倉敷美観地区にほどちかいコワーキングスペース分福を拠点として、午前中にレクチャー。お昼を挟んで倉敷駅近くの老松団地を見学の後、分福に戻りワークショップを行いました。

まずは石田さんより、日本や岡山にどのような団地があるのかという基礎的なお話しをしていただきました。団地と言えば、広くは民間社宅などが含まれることもありますが、その多くは日本住宅公団(現・都市再生機構)や地方公共団体により建てられた公営(県営・市営)住宅を指しています。その目的は、住宅に困窮する低額所得者や高齢単身者に対して、安い金額で住居を提供することでした。鉄筋コンクリート、コンクリートブロック、木造など造りにより耐用年数が定められており、高層住宅、5階建程度の階段室型、2階建のテラスハウス、星型のスターハウスなどいくつかの典型的なタイプがあるそうです。老松団地は1952年造。倉敷では他に中庄団地などが知られています。

続いて菊地さんより、日本の公共施設の状況と、それらを今後どのように活用できる可能性があるかというお話です。その多くはバブルの時期につくられていて、耐用年数が経過したものなどに更新投資が必要になってきています。しかしどの自治体も人口減少・高齢化・老朽化・財政難に悩まされている状況。そこで菊地さんがコーディネーターを務める公共R不動産では、国内外各地の事例を参考にしながら、その施設や立地の特徴や強みを再発掘し、民間の事業者など行政だけによらない活用の仕組みづくりなどに取り組んでいます。提案する立場からは、なぜ使いたいのかの意図をしっかりと伝え、管理コストが不要になる、家賃収入が発生するなどのメリットも提示することがコツだと言います。

お昼をはさみ、老松団地の見学です。住宅街を歩いていくと、そこには広場や畑に囲まれた鉄筋コンクリート造3階建タイプのものと、コンクリートブロック造のテラスハウス、小さな集会所や倉庫が静かに佇んでいました。倉敷市担当課のご案内で入居者のいない内部も一部拝見。敷地や眺望、建物の状態、コンパクトな部屋のつくり、最近では見なくなったタイプの洗面台など、各々気になるところを確認しました。

分福に戻ってからは、団地をどのように活用することができるかの検討ワークショップ。階段室ごとにアーティストが入居するなどして、小さな美術館のように使えないか。民泊にしてはどうか。2畳の小さな部屋は茶室に使えそう。敷地の広さを生かしたイベントをやって、地域のお店に出店してもらい交流できる場にできないか。などたくさんのアイデアが出ました。

・講師コメント(菊地) 現場の見学で建物の良さを共有してからワークショップができたので、笑顔で同じ未来を見ることができたようで楽しかったです。 団地は都会の中にある、時間が止まったような、つくろうとおもってもつくれない空間。 地道な活動をつなげて残したい人が増えていけば、 使えるようになるかもしれないということをぜひおぼえておいてください。

・講師コメント(石田) 歴史・時代を感じることができる「団地」の体感を基に、楽しく活用の提案ができたと思います。古いだけではなく活用の仕方によっては多くの可能性を秘めた場所であることが確認できたのではないでしょうか。

団地の説明をする石田尚昭さん

老松団地の見学

ワークショップの様子

 

文化芸術交流実験室 

テキスト:橋本誠(ノマドプロダクション)