トークセッションとワークショップがセットとなった新しい切り口のシリーズ企画

レポート「見えない岡山を見る」

レポート「見えない岡山を見る」

 

日 時:2017年11月25日(土)11:00〜16:00 
開催地:岡山県天神山文化プラザ3階会議室(岡山市北区天神町8-54)
講 師:三宅航太郎(うかぶLLC共同代表)、蛇谷りえ(うかぶLLC共同代表)
概 要http://o-bunren.jp/76-2/

おかやま文化芸術アソシエイツの一環として11月にスタートを切った文化芸術交流実験室。トークセッションとワークショップがセットとなったシリーズ企画で、岡山県内の分野横断的な交流のプラットフォームを目指しています。
三宅航太郎さんと蛇谷りえさんを講師に迎えて開催した1回目の様子をレポートでお届けします。

講師のおふたりは うかぶLLC共同代表で、鳥取でゲストハウスたみ の運営などを行っていますが、かつては今回の開催地・天神町のお隣り出石町で期間限定のゲストハウスかじこ を営むなど、岡山にも深い縁があります。

リラックスした雰囲気の中での活動紹介のレクチャー。2010年の瀬戸内国際芸術祭に合わせてオープンした かじこ は、3ヶ月という短い期間だけの人の流れの中で、場や仕組みをしかけたことにより様々な人の活動や風景が立ちあがるプロジェクトでした。

その後、かじことは全く別の条件、人の流れがほとんどない環境で、長期間じっくりと取り組むことで見えてくる風景にも興味が湧き、場所を探してたどり着いたのが鳥取・湯梨浜町だったそうです。2012年に たみ を開業。2016年には2号店となるY(ワイ)を鳥取市内にも開業。うかぶLLCでは、他にもグラフィックデザイン、地域のイベントやプロダクト制作、アートプロジェクトのマネジメントなどを手がけているそうです。

「観光地としての鳥取というマスメディアを介したイメージではなく、自分の視点で純粋に『見る』ことができる。自分の視点で自由に旅をしてほしい。」といった言葉から、アーティストでもあるおふたりが「見る」ということをとても大切にされている様子が伺えました。

昼からは、おふたりのファシリテーションによるワークショップ。「見る」を封じることで、その他の感覚を発見し、世界がどう見えてくるのかをじっくりと体験し、最後にその手応えを共有しました。

ワークショップ

[ 練習 ]
2人1組になって小銭とお札を出し合い、ひとりがアイマスクをつけてお金の種類を当てるゲーム。重さを感じたり、形や模様を指でなぞったり、中には匂いで当てる人も。

続いてみんなで目隠しをして、耳を澄ませてみます。

エアコンの音、椅子を動かす音、窓の外の小鳥の鳴き声、救急車のサイレン、カーテンを閉める音、鍋の蓋を閉める音・・・実はいろんな音に囲まれていたことに気づきました。

そのまま、目隠しをして自己紹介。他の方は、自己紹介をした人の方向を一斉に指差して、あっているかどうか目隠しを外して確認します。

[ランチ]
お昼は、表町のカフェEXCAFEさんのランチボックス。セロリとエリンギとひよこ豆の温製ビシソワーズ(豆乳とじゃがいもベース)で、身体が温まります。

デザートは、目隠しをして配られ、匂いを嗅いで何が入っているか当ててみます。「バナナの匂いがする!」 
爪楊枝に刺さっているのを食べてみて、「あ、りんごだ!」 爪楊枝で他の素材を突きさしてみる人も。

目で見ないと味を感じにくいという人や、目隠ししているから味覚に集中できるという人もいて、どの五感を大切にしているかは人それぞれのよう。

[目隠し散歩]
再びペアになって、ふたりで傘の両はしを持ちます。ひとりが目隠しをして、もうひとりが傘で誘導して会場周辺の町なかを歩きます。

15分経ったら立ち止まり、目隠しをしている方がその場で「見えている」ものを撮影し、役割を交代して更に15分歩きます。
出発地点に戻ってきて、今度はペアの相手を変えてもう一度同じように歩きます。
撮影した写真は、Instagramの非公開アカウントに投稿して発表会で共有します。

[発表会]
会場に戻ってきて、みんなで写真を見ながら感じたことや起こったことを発表しました。

「工事の音や子供が遊んでいる音が、見えている時より大きく耳に飛び込んできた」

「車の音や子どもの声を聞いて、ここがどこなのか想像しながら歩いた」

「風を身体で感じられた」

「言葉ではなく、傘で相手の気持ちが伝わってきた」

「気をつけてください」の応酬。見えなくても、意外に怖くない。

「目が見えなくても、文化を感じた」

「わからないから触ったり匂ったりしたものを、後からもう一度歩いて確認したい。」

「仕事の時は厳しいけれど、一緒に歩くととても優しい。その人の、普段は知らない意外な一面を知れた」

歩いていた時に感じた不安や疑問、驚きなどの感情を、みんな夢中で話し、笑いあり、涙ありの発表会に。

蛇谷さんと三宅さんからは、以下のような感想・コメントがありました。

「見てはいけないという禁止事項をひとつ設けるだけで感覚が全く変わってくる。普段見えていないものを写真で撮って再生できるのも不思議だった。」「見えているものが、一緒に行く人によって違ってくるのも面白い。より素敵な体験をしてもらうために、お互いに教えてあげる、触ってもらう、匂ってもらうなどの贈与関係もあった。」

おふたりの活動や考え方、そしてワークショップの体験を通して、町や物事をじっくりと捉える感覚を得ることができたことはもちろん、同じ時間を共有したことで、参加者の間にも自然につながりができたように思えます。

本シリーズは今後も月1回のペースで開催予定。ぜひご参加ください!

文化芸術交流実験室 

テキスト:木下志穂+橋本誠(ノマドプロダクション)